最終仕様「ファイナルエディション」の生産完了をもって、全グレードの生産を終了する3代目スズキ スイフトスポーツ。そこで、自動車を生業とする有識者3名のかたに、去りゆく3代目スイフトスポーツに「贈る言葉」をいただいた!!※本稿は2025年10月のものです文:山野哲也、国沢光宏、大井貴之、ベストカー編集部/予想CG:ベストカー編集部/写真:スズキ、ベストカー編集部初出:『ベストカー』2025年11月10日号【画像ギャラリー】3代目への感謝と4代目への期待を込めて……稀代のホットハッチ・スズキ スイフトスポーツの軌跡(19枚)スイフトスポーツに贈る言葉:山野哲也ジムカーナの鉄人・山野哲也氏はベストカー本誌企画で複数回スイフトスポーツを試乗 ベストカーの企画で初めて乗ってからもう5年以上経ちますが、その時まず感じたのは足回りの進化でした。 トレッド幅が拡大されて操安性が増し、特にリアのコントロール性がよくなっていました。踏ん張りが効いてコーナリングスピードも高く、欧州車のような仕上がりが印象的でしたね。 1.4Lのエンジンも、ターボエンジンらしく低回転からグワァァァーっとしっかりトルクが出るので、ギア選択で迷った時に1段高いギアで加速できます。するとドライバーの負担が減り、結果的にぶれない速さを持つクルマになりました。ATとの相性もよかったです。 先代までの自然吸気エンジンはトルクバンドが狭く、ピーキーな足回りも相まって上級者向けのクルマでした。そこに安定感のある足回りとターボエンジンを獲得した現行型は、ドライバーを選ばないクルマに進化したと言えるでしょう。 そして特筆すべきはコストパフォーマンスの高さです。ジムカーナでもコースレイアウトやコンディション次第では、車両価格が倍近いアバルト124スパイダーのライバルになりました。 ホンダCR-Xみたいな旧世代マシンからの乗り換え組も多い印象がありますね。これまで20年以上ハイパワーNAたちが君臨した日本のモータースポーツに世代交代の風を吹かせた、凄いクルマです。スイフトスポーツに贈る言葉:国沢光宏ベストカー読者お馴染みの国沢親方からは現役ラリーストならではの視点からコメントが もしスイフトスポーツが欲しいと思っているなら、即座に購入することを強く強く推奨しておく。 スズキ&スイフトスポーツのいずれもブランドイメージが弱いため人気という点で盛り上がらない。 だからこそ純エンジン車として絶版間違いなしとなっているのに現時点では新車を購入できるし(生産は終わるので在庫車限り)、中古車を適正な相場で入手することだって可能。ポテンシャルを考えたら驚くほどリーズナブルだと思う。 10万円もしないロムチューンで170馬力以上になるターボエンジン+6速MTのスポーツモデルが200万円少々で買えちゃえますから。こんなクルマ、2度と出てこない。全日本ラリーで活躍しているため、パーツだって多数出ている。 参考までに書いておくとファイナルエディションは完売しているようだけれど、標準で全く問題ないです。スイフトスポーツに贈る言葉:大井貴之ある意味「ミスタースイフトスポーツ」の大井大先輩も現行型をベタ褒め 私、HT81S型スイフトスポーツを駆り2005年のニュル24hでクラス優勝しました。そう、思い出深いクルマです。 HT81Sはヤンチャさが魅力だったが、続くZC31S、ZC32Sはヨーロッパでも通用する走りを持つ数少ないコンパクトカー。 そしてターボになったZC33Sは余裕のパワーで超楽チンだし、ちょっとチューニングしただけでめっちゃ速くなる。しかも安い。ZC33Sは日本のクルマ好き、走り好きはもちろん、ジムカーナやラリーといったモータースポーツ界の救世主だったのだ。 20年以上の長きにわたり、たくさんのドライバーを楽しませながら育ててくれたスイフトスポーツ。みんなが次回作を楽しみにしています。ちなみに……スイスポの魅力のひとつ「価格」はなぜ安くできた!?ヘッドライトもベース車とおおよその互換性がある 高性能と低価格を高次元で両立した超正統派ホットハッチ・スイフトスポーツの裏には、ベース車の存在があった。 ホットハッチというカテゴリーはベースの標準車に価格/性能共に大きく依存する。ベースの価格が安ければそれだけ価格を抑えることに繋がるし、シャシーなどの基礎設計やパッケージングは走行性能に大きな影響を与える。 そのベース車として先代スイフトは非常に優れた存在だった。世界で戦うハッチバックとして世に送り出されたスイフトは欧州でも通用する足回りに軽量なボディを持ち合わせ、価格も装備や性能を考えれば非常に安価だった。 そのシャシーに叩き込んだエンジンもエスクードですでに採用されていたもの。優秀なベースシャシーとエンジンが、最高のホットハッチを生んだのだ。●歴代スイスポデビュー時の価格・HT型(2003年6月)……119万0000円・初代(2005年9月)……156万4500円・2代目(2011年11月)……168万0000円・3代目(2017年9月)……183万6000円そして……次期型スイフトスポーツがスタンバイ!!ベストカー編集部が作成した次期型スズキ スイフトスポーツの予想CG まもなく生産終了を迎えるスイフトスポーツだが、現行スイフトベースの新型のデビューもそう遠くないだろう。現行のターボエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド化の情報にも現時点で変わりはない。2025年10月30日から開催されるJMS2025に注目!!