最新モデルにはない軽さやダイレクトな操縦感、そして時代を映したデザインなど、いまなお色褪せない魅力がある旧型スポーツカー。そうしたクルマを愛し続けるオーナーにとって、最大の悩みのひとつが純正部品の入手難。製造終了から年月が経つほど部品は市場から姿を消し、修理や維持に苦労するケースは珍しくない。【画像ギャラリー】やっぱり別格!初代NSXの美しさと存在感を写真でチェック(17枚) そんななか、ホンダは2025年12月12日、旧型スポーツモデルを対象とした新たなヘリテージサービス事業「Honda Heritage Works(ホンダ ヘリテージ ワークス)」を2026年4月より始動させると発表した。まずは初代NSXを対象に、純正部品の復刻供給とレストアサービスを行うという。初代NSXオーナーの夢を支えてくれるHonda Heritage Worksの詳細をご紹介しよう。文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:HONDAヘリテージパーツは「互換」と「復刻」で対応 Honda Heritage Worksは、「Honda Heritage Parts(ホンダ ヘリテージ パーツ)」と「Honda Restoration Service(ホンダ レストレーション サービス)」の2つで構成されるサービスだ。前者はグローバルに部品を供給し、後者は日本国内でのレストアを担う。いずれも初代NSXからサービスを開始し、将来的には他の旧型スポーツモデルへの拡大も予定しているという。 ヘリテージパーツは、販売終了となった部品を現代の素材・製造技術を用いて新たに再開発・再生産する「純正互換部品」に加え、当時と同一の素材・製造工程を忠実に再現する「純正復刻部品」をグローバルに供給するそう。単なる社外品ではなく、メーカーが品質を担保する「純正」として供給される点は、オーナーにとって価値あるサービス。純正互換部品では、耐久性や品質の向上も期待できる可能性もある。2026年4月1日から、純正復刻部品6点、純正互換部品4点が販売開始となっている。アルミモノコックボディやミッドシップレイアウトを採用し、軽さと正確なハンドリングを両立した初代NSX。扱いやすさとスーパーカー並みの性能を兼ね備え、いまなお多くのファンに支持されている初代NSXからサービスが開始される。走りに重要なパーツが安定供給される点は、ファンにとって大きな安心材料といえるレストアは、なんと初代NSX生誕の地、高根沢で!! 一方の「ホンダ レストレーション サービス」は、「当時のホンダが創り上げたドライビングフィールを徹底的に追求する」の思想のもと、1993年より初代NSXを対象に展開されてきた「NSXリフレッシュプラン」を、ヘリテージパーツの活用を前提に刷新したものだ。 施工を担うのは、初代NSX誕生の地である栃木県高根沢の拠点だ。「リフレッシュセンター」から「Honda Heritage Works Takanezawa」へと改称され、「生まれた場所で蘇る」という、ファンにとって感慨深い体制となっている。 サービスメニューは、エンジン脱着・点検やサスペンション整備など、走りに直結する機能部品を中心に手を入れる「基本レストア」と、ボディをベアメタルまで分解して再塗装し、内装まで全面的に刷新する最上位プログラムの「トータルレストア」の2段階構成。個体ごとの状態に応じた対応が可能で、長年乗り続けた車両を限りなく新車に近い状態へと引き上げることを狙う。 価格は、基本レストアで税込1155万円から。トータルレストアは車両の状態や要望に応じて個別見積もりとなるが、2000万円を超えるケースも想定される。純正のクオリティで「当時の走り」を取り戻すには、それ相応のコストが伴うようだ。レストアサービスでは、ユーザーの好みに合わせてボディカラーの変更も可能だ(オプション価格660万~)。塗装は職人が一台一台手作業で行い、量産時には実施していなかった箇所まで塗装してくれるという高コストだが選択肢が用意された意義は大きい!! 米国でも、アキュラ(Acura)が2026年3月に同様のプログラムを発表しており、初代アキュラNSX向け部品は同年夏以降、現地ディーラーでの受注が開始されるという。 気になる今後の対象モデル拡大について、現時点ホンダから具体的な車種名は公表されていないが、かつて部品再生産のアンケートを実施したS2000や、いまや世界的コレクターズアイテムとなったインテグラタイプR、シビックタイプRが候補に挙がることが想定される。 すでにトヨタ(GRヘリテージパーツ)や日産(NISMOヘリテージパーツ)、マツダ(クラシックマツダ)でも同様の取り組みは進んでいるが、トヨタが主に部品供給に軸足を置くのに対し、日産(R32およびR34スカイラインGT-R、日産子会社の日産サービスセンターを通じた対応)とマツダ(NAロードスター)は限定車種において、部品供給とレストアを組み合わせた体制を整えている。今回のホンダも、日産やマツダと同じく車種を絞って「メーカーが丸ごと面倒を見る」体制であり、オーナーにとって大きな安心材料だ。 価格を考えると、現実的には誰もが気軽に利用できるサービスではないが、それでも、メーカー主導で「純正のまま蘇らせる」選択肢が用意された意義は大きい。今後の展開に大いに期待したい!!NSXの次はS2000だろうか。期待は高まる