ホンダは、イタリア・ミラノで開幕した「EICMA 2026」で、大型アドベンチャーモデル「アフリカツイン」シリーズの2027年モデルとなる『CRF1150L アフリカツイン』シリーズを世界初公開した。

今回のフルモデルチェンジでは、開発コンセプトに「Shaped by You. True Adventure for All(ライダーの想いをかたちに。すべての人に、真のアドベンチャーを。)」を掲げ、先代モデルの「CRF1100L アフリカツイン」から排気量を拡大して動力性能を向上。各部の徹底した軽量化と低重心レイアウトの採用により、扱いやすさとトータルバランスをさらに高めた。

◆3タイプのラインアップ

CRF1150L アフリカツインシリーズは、従来の「アフリカツイン」「アフリカツイン アドベンチャースポーツ」に加え、よりオフロード性能を追求した「アフリカツイン エンデューロスポーツ」を新設定し、計3タイプのラインアップとなった。

スタンダードモデルのCRF1150L アフリカツインは、優れたオフロード性能とツーリング性能を高次元で両立。プラットフォームとエンジンをアップデートするとともに、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を刷新し、電動アジャストスクリーン、ホンダ・スカイフック制御付き電子制御サスペンション(SHOWA EERA)、ホンダスマートキーシステムなどの先進装備を採用した。

CRF1150L アフリカツイン アドベンチャースポーツは、容量24Lの大型燃料タンクや19インチフロントホイールを採用し、長距離ツーリングでの利便性と快適性を追求。さらに、ホンダ二輪車として初めて先進安全運転支援システム「Honda SENSING RIDE」を搭載した。

新設定のCRF1150L アフリカツイン エンデューロスポーツは、ダカールラリー参戦モデル「CRF450 RALLY」譲りのフロントサスペンションや専用デザインを採用し、より高い走破性と操る楽しさを実現している。

◆1131ccに拡大した並列2気筒エンジン

新型の並列2気筒エンジンは排気量を1131ccに拡大。最高出力は87.5kW(7500rpm)、最大トルクは119Nm(5750rpm)を発揮し、従来の75kW・112Nmから大幅に向上した。

ボア径を2mm拡大して94.0mmとし、ストロークは81.5mmを維持。圧縮比は10.5:1から12.1:1へ引き上げた。スロットルボディ径は46mmから52mmに拡大し、吸気ダクトやエアボックスの流路も再設計。バルブ径やカムタイミング、ピストン、コンロッド、クランクシャフトも刷新している。

270度位相クランクシャフトによる不等間隔爆発は継承し、アフリカツイン特有のパルス感とトラクション特性を維持する。圧縮比の向上、ボア径拡大、吸排気システムの最適化、ギア比の見直しにより、優れた加速性能と快適なクルージング性能を実現した。

◆1.4kgの軽量化、全モデル標準装備の電制サス

剛性バランスを見直した新設計のフレームボディとスイングアームにより、先代モデルに対して1.4kgの軽量化を達成。燃料タンクを分割してシート下にも配置することで低重心化を図り、低速時の取り回しやコントロール性能を向上させた。この設計思想は、1986年から1989年にかけてパリ・ダカールラリーで4連覇を達成したNXR750から着想を得ている。

フロントフォークは従来の45mmから49mmのショーワ倒立式(USD)に変更。ショーワEERA(電子制御サスペンション)が全モデルに標準装備となり、Honda スカイフック制御を新たに統合した。スカイフック制御はバネ上質量の上下・ピッチ方向の動きに応じてダンピング力を1ミリ秒単位で調整し、乗り心地と安定性を向上させる。

サスペンション設定に新たに「ミニマム」モードを追加。CRF1150L アフリカツインではシート高を10mm低下させ、アドベンチャースポーツでは5mm低下させる。

走行シーンに応じて選択可能な6種類のライディングモードも設定。エンジン出力特性、トラクションコントロール、ABS、DCT、電子制御サスペンションなどを統合制御し、オンロードからオフロードまで幅広いシーンに対応する。

◆より自然なライディングポジション、アドベンチャーならではの装備も充実

ハンドルバーは10mm幅を狭め、10mm高く前方に配置。フットペグは20mm内側かつ10mm後方に移動し、より自然なライディングポジションを実現した。シートのフォーム厚も見直し、長距離走行時の快適性を向上させている。

電動スクリーンは130mmの高さ調整と10度のレーキ調整が可能。燃料タンクカバー内にスマートフォンを収納できるロック付きポケットを新設し、USB-Cソケットを内蔵する。

インフォテインメントシステムは5.7インチの車両情報ディスプレイと7インチフルカラーTFTタッチスクリーンの組み合わせ。起動時間は従来比約70%短縮され、5秒で起動する。

オフロード専用表示とコンパス機能も備える。Apple CarPlayとAndroid Autoはワイヤレス接続に対応。Honda スマートキーによりイグニッション、電動ステアリングロック、燃料キャップを操作する。

クルーズコントロール、グリップヒーター、ナックルガード、アルミ製リアキャリアを標準装備する。

燃料タンク容量はCRF1150L アフリカツインが18.8L(航続距離約370km)、アドベンチャースポーツが24.2L(航続距離約480km)。WMTCモードの燃料消費率はMT仕様で5.1L/100km(約19.6km/L)。

◆ミリ波レーダーを搭載した「Honda SENSING RIDE」

CRF1150L アフリカツイン アドベンチャースポーツのDCTモデルには、「Honda SENSING RIDE」が搭載される。

車体前部と後部に1基ずつミリ波レーダーを搭載し、高精度で周囲の状況を把握。アダプティブクルーズコントロール(ACC)、ストップ&ゴー機能付きACC、グループライドアシスト、ディスタンスアシストなどのライディングサポート機能を備える。

また、前方衝突警告、エマージェンシーアシスト、ブラインドスポットインフォメーション、後方車両接近通知、後方衝突警告も搭載。ホンダ独自の自動変速機「デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)」との組み合わせにより、渋滞や街中での走行時にもライダーの疲労を軽減する。

◆サステナブルマテリアルの採用

ホンダは2050年のサステナブルマテリアル率100%を目指しており、アフリカツインシリーズでは、エンブレムおよびテールランプに二輪車で初めて「ケミカルリサイクルアクリル材」を採用。アッパーカバーやリアフェンダーステーまわりには「ケミカルリサイクルナイロン材」をホンダ二輪車で初めて採用した。

ウインドスクリーンおよび左右ディフレクターには植物由来のバイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO」を使用するなど、資源循環の促進と環境負荷低減に取り組んでいる。

アフリカツインは2016年の「CRF1000L」復活以来、ヨーロッパの1000cc超アドベンチャーセグメントで販売台数2位を維持しており、累計販売台数は12万台を超えている。